『お薬と生活』コーナーでは、お薬や健康生活にまつわる話題を取り上げています。
日々の生活の中に取り込めるちょっとした工夫や季節に応じた健康対策のほか、ケイアイエム(KIM Pharmacy)の薬局店舗での取り組みなど、みなさまの健康生活をサポートする情報を提供しています。
関節リウマチの話
2018年12月
寒さが厳しくなってくると、なんとなく関節が痛むとか、指が痛むなど痛みの症状に悩まされることがあります。もしかすると、それは関節リウマチの症状なのかもしれません。
関節リウマチは、30~50歳代で発症することが多いとも言われ、男性よりも女性の方が多く発症するという統計結果もあります。
早期に適切な治療を行えば、症状をうまくコントロールすることもできると言われています。
今回は、そんな関節リウマチについてのお話です。
関節リウマチとは
関節リウマチは関節滑膜炎を主な病態とする全身性自己免疫疾患です。日本での患者数は70~80万人にのぼり、男女比は1:4で30~50代の女性に多い病気です。
自己免疫疾患は体質的にかかりやすい人が何らかの原因によって発症すると考えられています。その原因は、まだよくわかっていませんが、細菌やウイルスの感染、過労やストレス、喫煙、出産やけがなどをきっかけに発症することがあります。
関節リウマチの症状
- 関節の腫れ、痛み、変形
- 朝のこわばり
- だるさ、倦怠感
- 貧血
- 目の炎症(白目の部分である強膜に炎症が起こり、毛細血管が広がって充血することがあります)
- 肺の炎症 (肺に炎症が起こり、息切れや呼吸困難を起こすことがあります)
関節リウマチの治療
抗リウマチ薬
抗リウマチ薬は関節リウマチの原因である免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きがあります。
現在の関節リウマチ治療の第一選択薬は抗リウマチ薬です。効果が出るまでに1ヵ月から半年くらいはかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。
ステロイド
炎症を抑える作用が強力で、関節の腫れや痛みを和らげる働きがあります。消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬を用いても、炎症が十分に抑制できない場合に用いられます。
ただし、抗リウマチ薬や生物学的製剤の効果が十分にみられたときは、ステロイドを中止することができます。
生物学的製剤
炎症を引き起こすサイトカインであるIL-6やTNFΑの働きを妨げ、関節破壊が進行するのを抑えます。
この薬は注射(点滴または皮下注射)で投与しますが、その間隔は1週間に2回から2ヵ月に1回までとさまざまです。通院回数やライフスタイルに合わせて治療薬を選択することができます。
日常生活での注意点
ストレスをためない
ストレスは万病のもとですが、ストレスは、関節リウマチの症状にもよくありません。できるだけストレスを感じずに生活できれば理想的です。
適度な安静と運動をバランスよく行う
運動をしないと関節の可動域が狭まったり、全身の筋力を保つことが難しくなったりします。関節の可動域や全身の筋力を保つために適切な運動を行いましょう、しかし体がだるい時や関節の痛みが強い時は無理をしないようにしましょう。
バランスのよい食事を心がける
関節リウマチになると、運動不足や炎症のために筋肉の量が減りやすくなります。また、合併症である骨粗鬆症や貧血などを発症するリスクも高くなります。
以下のような栄養を摂取するように心掛けましょう。
- 筋肉の維持のために良質なたんぱく質(肉、魚、大豆、乳製品など)
- カルシウム、ビタミンD,Kで骨粗鬆症予防
カルシウム(乳製品、小魚、緑黄色野菜)
ビタミンD(豚レバー、サケ、キノコ類)
ビタミンK(納豆、豆苗) - 鉄分で貧血予防(レバー、かつお、ほうれんそう)